亜鉛不足による男性不妊

亜鉛不足が精子に与える影響と不妊治療、食生活の乱れ・ダイエットなど、亜鉛不足になりやすい主な原因について解説します。

亜鉛と男性不妊の関係性

人体に必要不可欠な微量ミネラル「亜鉛」は、生殖機能や男性ホルモンであるテストステロンの合成に深く関わるもの。細胞分裂の活発な臓器・組織で必要とされ、男性では精巣・前立腺に多く含まれています。

この亜鉛が不足するとこれらの臓器・組織が影響を受け、性的な機能が低下。精子の数や運動量が低下したり、ED(勃起不全)につながることもあり、場合によっては不妊治療を受ける必要が出てきます。生活習慣や食習慣の乱れが亜鉛不足を引き起こすため、男性不妊を防ぐためにも毎日の習慣を見直していきましょう。

亜鉛不足の主な原因

1.偏った食生活

通常の食生活を送っていれば亜鉛不足に陥ることはないと言われていますが、コンビニ食・インスタント食品・ファストフードなどの摂取が多い場合は要注意。こういった食品類には亜鉛吸収を妨げるフィチン酸・ポリリン酸が多く含まれています。また、アルコール代謝には多量の亜鉛が消費されるため、お酒をたくさん飲む人も注意が必要です。

2.極端なダイエット

ダイエットのために極端に食事量を減らしたり、亜鉛の多い魚介類・肉類の摂取を大幅に控えたりすると、亜鉛不足に陥る可能性があります。また、好きなものばかりを食べ苦手なものを避けるなど、偏食が激しい人も要注意。栄養のバランスが偏ると、せっかく摂取した亜鉛を効率よく吸収できなくなってしまいます。

3.スポーツ貧血

スポーツ貧血とは、血液中の赤血球・ヘモグロビン濃度が激しい運動によって低下する症状。亜鉛は尿や便だけでなく、汗からも排出されるため、運動で大量の汗をかくと亜鉛不足による貧血を起こしやすくなるのです。この状態が長く続くと疲労や集中力の低下、生殖機能の低下(精子減少・性欲低下など)を招きやすくなると言われています。

重度の亜鉛不足は医療機関での治療が必要

軽度の亜鉛不足であれば、食生活・生活習慣を見直すことで改善できます。しかし、より症状の重い亜鉛欠乏症に陥っている場合はNG。食事やサプリメントだけで精子を増やすことは難しいため、クリニックで処方される亜鉛製剤を使う必要があります。

ちなみに血清亜鉛濃度が60μg/ml未満であれば亜鉛製剤の処方に保険が適用されるため、心当たりがある方は早めに検査を受けましょう。

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不妊治療を行うことによって考えられるリスク

不妊治療の方法によっては、多胎を発生させてしまう可能性が高くなると言われています。

  • 多胎による母体側のリスク:妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病をはじめとする合併症の発症
  • 多胎による胎児側のリスク:流早産、発育遅延や低出生体重児(2,500g未満)の出生、先天異常、新生児の死亡率の上昇、障害発症の可能性

多胎妊娠にともなう母子のリスクを回避するために、日本産科婦人科学会と日本生殖医学会は、学会員にむけて体外受精における移植胚数を原則1個にするように指示を出しました。これにより、体外受精における多胎妊娠の頻度は減少しています。

高度生殖医療におけるリスク

体外受精・顕微授精といった、体外で行う不妊治療をまとめて高度生殖医療と呼びますが、体外受精には卵巣過剰刺激症候群(OHSS)、麻酔の合併症、採卵時の卵巣周辺臓器(血管・腸管・膀胱など)損傷といったリスクの可能性があります。また、顕微授精においては低出生体重児の傾向があり、心臓や呼吸器に障害を持つリスク、自閉症や注意欠陥多動性障害のリスクが高いとする報告があがっています。その他、精子凍結に関しては、凍結させた精子を融解する際に精子の運動率が50~80%ほどダウンすることが分かっています。ただし、融解後は再度精子の精製を行い、活発な精子のみを集めて治療に用いています。今のところ、凍結保存をした精子を使って生まれた子どもに先天奇形や発育不良が多くなるといった報告はありません。

男性不妊治療におけるリスク

男性不妊治療「TESE」におけるリスクとして、創部痛、発熱、精巣上体炎、陰嚢内血腫などの合併症が考えられます。予想外の合併症が起きる可能性がゼロとは言えないため、専門クリニックにしっかりと相談をしましょう。不妊治療専門の医療機関で処方されるサプリメント(漢方薬やビタミン剤、ホルモン剤など)を用いた薬物療法の副作用やリスクについては、医師にご確認ください。(2019年2月現在)