タバコによる男性不妊

タバコと不妊の関係性や、受動喫煙がパートナーに与える影響などについて調べました。何よりも、不妊と感じたらすぐ医療施設へ相談することを意識しましょう。

タバコが男性不妊の原因って本当?

喫煙の習慣があると、男女ともに不妊症になりやすくなります。とくに男性の喫煙者の精子は、非喫煙者に比べて精子数が15~25%ほど低く、運動量も10~17%ほど減少するとされています。

さらに、奇形精子が発生する率も十数%高いと言われているのです。また、血のめぐりが悪くなることにより海綿体への血流が悪化、EDになるケースもあります。

タバコが精子に与える影響

2016年にEuropean Urology誌で発表された「喫煙と精液所見:2010年WHO基準を用いたメタ解析」という、20の論文を対象にデータ解析を行った論文があります。

この論文による喫煙者と非喫煙者の精液所見では、喫煙者の精子濃度は非喫煙者よりも8.92百万/mlも低め。不妊症の男性に限定した場合は11.29百万/mlも低く、喫煙者の精子数が非常に少ないことが分かります。

また、精液の量は0.21ml・運動量4.78%・正常形態率は1.37%と、すべての数値において喫煙者のほうが悪くなっているとレポートされています。タバコを吸う本数が多いほど精子へのダメージが大きいという結果もあるため、不妊治療を考えるなら禁煙は必須といえるでしょう。

受動喫煙による二次被害

喫煙者が吐き出したタバコの煙(副流煙)を、間接的に吸入することを受動喫煙といいます。

この副流煙には非常に多くの有害物質が含まれており、タバコを吸っていない周囲の人にまで悪影響を及ぼします。受動喫煙を続けると、男性では精子の数が減少・運動量の低下・奇形精子が増えるといった問題が起こりやすくなり、男性不妊につながることがあります。

喫煙男性がパートナーに与える影響

男性側が喫煙を続けた場合、パートナーの妊娠率が低下してしまいます。

カナダのマクマスター大学等の研究によると、受動喫煙をしている女性は体外受精の成功率が低いことが判明。しかも、その確率は喫煙している女性と同レベルといわれているのです。

検査の結果が男性不妊ではなかったとしても、子どもを望むのであればタバコはキッパリやめるべきでしょう。

喫煙習慣があるなら、1度不妊検査を受けて

不妊の原因は多岐にわたりますが、喫煙がその1つであることは確かです。もし喫煙をしているのであれば、1度自分の精子がどのような状態なのか、専門機関で検査してみた方が良いでしょう。

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不妊治療を行うことによって考えられるリスク

不妊治療の方法によっては、多胎を発生させてしまう可能性が高くなると言われています。

  • 多胎による母体側のリスク:妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病をはじめとする合併症の発症
  • 多胎による胎児側のリスク:流早産、発育遅延や低出生体重児(2,500g未満)の出生、先天異常、新生児の死亡率の上昇、障害発症の可能性

多胎妊娠にともなう母子のリスクを回避するために、日本産科婦人科学会と日本生殖医学会は、学会員にむけて体外受精における移植胚数を原則1個にするように指示を出しました。これにより、体外受精における多胎妊娠の頻度は減少しています。

高度生殖医療におけるリスク

体外受精・顕微授精といった、体外で行う不妊治療をまとめて高度生殖医療と呼びますが、体外受精には卵巣過剰刺激症候群(OHSS)、麻酔の合併症、採卵時の卵巣周辺臓器(血管・腸管・膀胱など)損傷といったリスクの可能性があります。また、顕微授精においては低出生体重児の傾向があり、心臓や呼吸器に障害を持つリスク、自閉症や注意欠陥多動性障害のリスクが高いとする報告があがっています。その他、精子凍結に関しては、凍結させた精子を融解する際に精子の運動率が50~80%ほどダウンすることが分かっています。ただし、融解後は再度精子の精製を行い、活発な精子のみを集めて治療に用いています。今のところ、凍結保存をした精子を使って生まれた子どもに先天奇形や発育不良が多くなるといった報告はありません。

男性不妊治療におけるリスク

男性不妊治療「TESE」におけるリスクとして、創部痛、発熱、精巣上体炎、陰嚢内血腫などの合併症が考えられます。予想外の合併症が起きる可能性がゼロとは言えないため、専門クリニックにしっかりと相談をしましょう。不妊治療専門の医療機関で処方されるサプリメント(漢方薬やビタミン剤、ホルモン剤など)を用いた薬物療法の副作用やリスクについては、医師にご確認ください。(2019年2月現在)