不妊治療のリスク

排卵誘発剤・人工受精・体外受精・顕微授精といった不妊治療の種類ごとに考えられるリスクをまとめました。

排卵誘発剤

排卵誘発剤とは、卵巣機能を高めて排卵を誘発するための薬剤です。排卵しにくい場合、なかなか卵胞が育たない場合などに用いられます。

排卵誘発剤のリスク

通常、女性の身体では1か月に1個卵胞が成熟します。しかし、排卵誘発剤を使うと複数個の卵胞が成熟して排卵されるため、多胎妊娠(双子や三つ子)になりやすい傾向が。

多胎妊娠は、単胎妊娠よりも早産、妊娠高血圧症候群、貧血、子宮内発育遅延などのリスクが高まります。

また、排卵誘発剤の反応が強すぎた場合、卵巣腫大・腹部の張り・腹水や胸水といった症状が見られる卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が起こることも。クロミッドをはじめとする内服薬では起こりにくいと言われています。

体外受精

体外受精は排卵誘発剤や卵胞穿刺(膣壁に針を刺して卵子を含んだ卵胞液を吸引する方法)を使って卵子を採取し、シャーレ(ペトリ皿)で受精させる方法です。受精した胚は培養して、ある程度育ってから子宮内に移植する流れ。タイミング法でなかなか受精しない場合に用いられます。

体外受精のリスク

体外受精では、排卵誘発剤や卵胞穿刺、麻酔などによるリスクが挙げられます。排卵誘発剤によるリスクはこちらをご確認ください。

卵子を採取する際に行われる卵胞穿刺は超音波を使って慎重に行われますが、まれに腹腔内出血・膀胱出血・骨盤内感染症などが起こるケースもあります。

また、卵胞穿刺は強い痛みが生じるため、必要に応じて麻酔が用いられます。人によっては麻酔によるアレルギー症状が起こるため、注意が必要です。

人工授精

人工授精とは、遺伝子が傷ついていない形の良い精子を採取して、人工的に子宮内に注入する方法です。人工授精によるリスクはほとんどないとされています。

人工授精のリスク

子宮の入り口が狭い人は、精子の注入に使用するカテーテルが入りにくいため、痛みを感じやすい傾向があります。

また、まれに高熱や腹痛、腹膜炎などが起こるケースも報告されています。

顕微授精

顕微授精とは、高倍率の顕微鏡を使って精子・卵子の採取、受精、肺移植を行う方法。一般的に、自然妊娠よりも障がい児や流産のリスクが高いと言われていますが、これは顕微授精を受けている女性の年齢層が高いためです。治療によるリスクではありません。

顕微授精のリスク

生まれてくる子どもが男性だった場合、遺伝子異常による精子減少症のリスクが7%から8%あります。

顕微授精は歴史がまだ浅いため、そのほかのリスクに関しては報告されていません。複数のクリニックのカウ背リングを受けて顕微授精に対する考え方や取り組み方をよく確認し、納得したクリニックで治療を進めましょう。

リスクを把握したうえで安全な不妊治療を目指そう

不妊治療には多かれ少なかれ何らかのリスクが伴います。不妊に限りませんが、何も知らずに治療を受けるべきではないのです。リスクを少しでも抑えるため、不妊治療に関する知識を身につけましょう。

不妊治療を行うことによって考えられるリスク

不妊治療の方法によっては、多胎を発生させてしまう可能性が高くなると言われています。

  • 多胎による母体側のリスク:妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病をはじめとする合併症の発症
  • 多胎による胎児側のリスク:流早産、発育遅延や低出生体重児(2,500g未満)の出生、先天異常、新生児の死亡率の上昇、障害発症の可能性

多胎妊娠にともなう母子のリスクを回避するために、日本産科婦人科学会と日本生殖医学会は、学会員にむけて体外受精における移植胚数を原則1個にするように指示を出しました。これにより、体外受精における多胎妊娠の頻度は減少しています。

高度生殖医療におけるリスク

体外受精・顕微授精といった、体外で行う不妊治療をまとめて高度生殖医療と呼びますが、体外受精には卵巣過剰刺激症候群(OHSS)、麻酔の合併症、採卵時の卵巣周辺臓器(血管・腸管・膀胱など)損傷といったリスクの可能性があります。また、顕微授精においては低出生体重児の傾向があり、心臓や呼吸器に障害を持つリスク、自閉症や注意欠陥多動性障害のリスクが高いとする報告があがっています。その他、精子凍結に関しては、凍結させた精子を融解する際に精子の運動率が50~80%ほどダウンすることが分かっています。ただし、融解後は再度精子の精製を行い、活発な精子のみを集めて治療に用いています。今のところ、凍結保存をした精子を使って生まれた子どもに先天奇形や発育不良が多くなるといった報告はありません。

男性不妊治療におけるリスク

男性不妊治療「TESE」におけるリスクとして、創部痛、発熱、精巣上体炎、陰嚢内血腫などの合併症が考えられます。予想外の合併症が起きる可能性がゼロとは言えないため、専門クリニックにしっかりと相談をしましょう。不妊治療専門の医療機関で処方されるサプリメント(漢方薬やビタミン剤、ホルモン剤など)を用いた薬物療法の副作用やリスクについては、医師にご確認ください。(2019年2月現在)